今日の試写会は、ケイト・ブランシェットがアカデミー賞主演女優賞にノミネートされたことでも話題の『TAR/ター』。
ケイト・ブランシェットが演じるのは、女性にしてベルリンフィルのスター指揮者リディア・ター。マーラーの交響曲第五番の録音に向けて順風満帆に見えたリディアだが、彼女の奢りが作った小さな亀裂は、少しずつ彼女の日常に影を落とし始める…
まず、冒頭からの長台詞&長回し! ただの台詞じゃない。クラシック音楽に関するインタビューや授業の講義だから、専門用語も飛び出すし、これよく覚えたなぁ。これだけでも賞にノミネートされたのがわかる。
リディアは美人で、主席指揮者で、大スターで、ゲイだ。第一ヴァイオリンのシャロンは長年のパートナーで、娘のもいる(この娘の出自は不明)。
だが、このリディア、美人で大スターだから周りからモテるし、本人もモテてる自覚があるし割と恋多き女。
順調なキャリアに影を落とすのは、パートナーがいても新しい恋を求めてしまう性や、かつての恋の残酷な結末。
だが、このリディアとリディアを取り巻くスキャンダルは、別にLGBTQに限ったことではない。男女の仲でも普通に起こることだし、本作ではたまたまLGBTQの話になってるけど、男でも女でも共感できる話だ。
全てを手に入れたはずだったリディアが悪夢に堕ちた先の運命はネタバレ禁止。
見始めた時は壮大なマーラーの交響曲第五番で終わるんだろうとたかを括っていたのだが、とんでもない曲で終わる(笑)。唐突なラストシーンにはかなり唖然とするが、テーマは明確だ。
ケイト・ブランシェットの演技には見る価値ありだが、作品としてのまとまりには欠ける。