このレビューはネタバレを含みます
一般の劇場で観たけどこれはDolby Atmosの設備がある劇場で観たかった。どこか近場でやってるところないかなぁ?😩
巷ではケイト・ブランシェットの怪演に評価が集まっていますが映像面や音響面でも興味深い演出がされていて2時間半の長尺が全く気になりませんでした。
映像面で分かりやすいのはスタッフクレジットをオープニングに持ってきた事。エンディングがああだからという噂を先に聞いてしまったのは仕方ないけど、昔の大作映画の序曲みたいな狙いもあったのだろうか?
謎めいたチャット動画に続くNYでの公開インタビュー。赤毛の女性聴講者の後頭部が何度か映るのだけど、これが自殺して騒動の中心となるクリスタだと後で分かる。実は自殺後もターの居室などクリスタが居るはずのない場所に「幽霊」のように意図的に写し込まれていたらしい👩🦰
このインタビューでターが「バーンスタインに師事した云々」と言ってたけど、終盤に故郷らしき部屋にあるVHSコレクションの古びた映像を見るとビデオを繰り返し鑑賞して自習しただけでは無いのかという疑問も湧いてくる。
続くジュリアード音楽院での講義。10分程の時間、澱みなく話し続けるターをカメラがずっと追い続ける1カットの長回しが地味に凄かった。さらにこのシーンを編集したショート動画がターを中傷するのに使い回されるのも興味深い。
音響面ではターが受けるストレスに共鳴するかの様に聞こえてくる幻聴。ターが音の出所を探し回るに連れて音の位置が変わっていくのが面白い。
特にターが見初めた若い女性チェリスト オルガを追って入り込んだ地下道で聞こえてくる獣の唸り声や足音の動き。後方左右に動き回るのが不気味なのだがあれがDolbyAtmosだったら私の座席のすぐそばを掠めたように聴こえたのではないだろうか?🤔
因みにジョギング中の公園で聞こえた女性の叫び声。叫び声の主が分からないまま唐突に次のシーンに移るのだけど映画評論家の松崎健夫さんによるとあれは「ブレアウィッチプロジェクト」ラストのヒロインが恐怖に叫ぶ声がそのまま使われていたとのこと。恐らくターの不安が過去に見た映画の音を脳内再生させたのだろうと見立てていました。なるほど🤔
それにしても音楽家なのに隣部屋の呼び鈴の音が気になるくらい防音性が無いって大丈夫なのかなと思ったけど、苦情を受けても「この私が奏でる音楽が騒音ですって?」と言わんばかりの表情で返すのが如何にもターという人物を表しているなとも思えた。
しかしながらセカンドハウスとはいえターの収入であの壁の薄いアパートはどうでしょうね?
まだまだ隠されたネタが多そうだし、暗い画面も多いので出来ればDolby Cinemaで再鑑賞したいなぁ。