たいが

TAR/ターのたいがのレビュー・感想・評価

TAR/ター(2022年製作の映画)
4.0
世間ではマリオが超絶ブロックバスター映画として話題を集めている一方で、映画好きの間でこのTARという映画が大きな注目を集めているという構図がなかなかに興味深い!!

権力とキャンセルカルチャー
ベルリンフィル初の女性指揮者であるターはその権力に溺れ傲慢になっているが、彼女はそれに対して無自覚
バッハをキャンセルすると言った学生に対してまくし立て論破する、自分が好きな人は優遇するが批判されれば副指揮者でさえもあっさりクビを切るなどまぁやりたい放題

そのターがある出来事を機に世間からキャンセルされ、ドン底へ落ちていく
でもその様子をドラスティックに描くのではなくじっくりとひとつひとつやっていくのがとても良かった

やはりどう足掻いても権力は腐敗するものでそこから逃れることは当人の力だけではできず、周囲にキャンセルされることでしか権力を是正することはできないのかな〜

クレジットがオープニングに組み込まれてるの珍しいなと思っていたら、反Netflix反ストリーミングの意味合いもあるというレビューを見てめちゃくちゃ納得した

というのもこれ結構映画の内容にも関わってくると思ってて、ターのような権力と自意識のバケモンを生み出したのってオーケストラや映画といった集団で作り出す芸術でありながらその成功は指揮者や監督のものになりがちなその構造とそれを助長するメディアって構図によるものが大きいと思う

そうならないためにはやっぱりひとつの作品は指揮者や監督だけのものではなく、その向こう側に多くの表現者やクリエイターがいるということをまずは理解しなくてはならないと思う
AIの時代になってクリエイターが見えづらくなるのは今後より顕著になる
だからせめて自分だけでもその向こうにいるクリエイター達に目を向けるようにしたい
たいが

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