ぶりりん

TAR/ターのぶりりんのネタバレレビュー・内容・結末

TAR/ター(2022年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

その人が本当に素晴らしい芸術家なら、私生活や人格に問題があっても作品には全く関係ない。普段からそう思ってるので、この主人公にはなんの嫌悪感も抱かなかった。
それより人のふんどしで相撲を取るヤツが自分的には一番クズなので、スコアを盗られた時点で全面的に彼女の味方になってしまう。同僚の指揮者をぶん殴ったとこは拍手喝采だ。まぁそういうタイプの話じゃないんだけどね。
ベルリンフィルの指揮者なんて最高の権威だろうに何故あんな簡単に転落していくのかちょっと腑に落ちなかった。若い子に目をかける男はいくらでもいるし、こんなスキャンダルで駄目になるのは、むしろ女性に不寛容に見えてしまう。
この主人公の実力が本物だったのか、そこも気になるとこだけど、映画の中ではそれもよくわからない。
ただとても張り詰めて突き詰めて音楽と向き合っている様に見えた。本番前の緊張ぶりはこっちまで息が詰まりそう。

映画の中には彼女のエピソードが盛り沢山だけど、それが見ている側を余計に混乱させる。
貧しいリンダがどんな経緯で洗練されたリディアに成り上がっていったのか。冒頭の気取ったインタビューは彼女の作り上げた理想なんだろうか。アマゾンで5年も地元民の音楽を調査してたとか、ホントの話?人物像に矛盾してない?
純粋に音楽の僕だったのか、純粋な芸術家に偏執してたのかよくわからない。
最後ゲーム音楽の指揮者になってたのはホラーにしか見えなかった。いや、ゲーム音楽だって素晴らしいと思うけど本人の方向性と違う感じがして。

ミシェルヨーのオスカーは嬉しいけど、この鬼気迫るケイトブランシェットはもう無敵だ。これ以上の演技が出来る俳優さんが他にいるかしら。
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