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TAR/ターのIRIのレビュー・感想・評価

TAR/ター(2022年製作の映画)
3.9
2日連続で観に行ってしまうくらい面白かった。2回目観ての感想。

ターの視点に立つと、彼女は常に正しいことをしていたと思う。音楽に対して常に真摯な態度で取り組み、健康維持を心掛け、家族を守り、好きな人を愛し、危ないものから遠ざかる。ただそれだけのことをしていただけだ。

しかし、権威を持ってしまうことで、そんな態度が周囲の人にかなりのダメージを与える。指揮棒を振るうかの如く簡単に人を動かし、みんなとてつもなく傷つけられてしまう(だからこそ、アンドリスの言う通り、権威のある人はキャンセルさせられてもいいように準備をしておかなければならないのかもしれない)

あと、最後のシーンは救いだと述べている人が多いが、僕はそうは思わなかった。あのシーンのあともターは音楽に真摯に向き合うはずで、向き合えば向き合うほど、彼女の立場は回復していき、また人を簡単に傷つけられるような立場になってしまうように思えてしまったからだ。一からやり直しても結局全ては繰り返されるだけなのかもしれない。
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