ヤマナカ

TAR/ターのヤマナカのレビュー・感想・評価

TAR/ター(2022年製作の映画)
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性搾取で「キャンセル」されたレズビアンのマエスト「ロ」リディア・ターが、自分の代役で指揮台に立ったゲイの指揮者につかみかかり、「わたしのスコアだ!」と吠えるところがあまりにつらい。(『もののけ姫』の「わたしの娘を返せ!」を思い出す。)性搾取のことについても、作中のSNS動画がそうであるように、我々観客にも断片的に編集されて示されるのみであって、そこから何かを判断したり、裁いたりすることは到底できない。性搾取的な白人男性としてのバッハを「キャンセル」するパンセクシュアルの学生の素朴さ(貧乏ゆすり!)が「キャンセル」されたリディア・ターと対照的なのも印象的だ。

Tar on Tar という題名の本を出版するTarは当然Tartar(タタール)ではないが、自殺した教え子Kristaの名前からアナグラムでAt riskを導くTarはArtであり、Rat(ドイツ語の「助言」「評議」)でもあって、さらにKrista のなかにもTarはある。
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