ヤマナカ

関心領域のヤマナカのネタバレレビュー・内容・結末

関心領域(2023年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

終始低い位置に置かれたカメラが、あたかも幼い子どもが窓から覗いている視線であるかのように、あまりに無垢なものとして機能しているので、アウシュヴィッツについての映画を撮るときの視線の問題、もっと言えば映画のプロットとも関係して表象の方法論を思考するよう迫るようにも思えるし、ラストの現代への跳躍は「シンドラーのリスト」をも思い出させる(もちろん批判的に)。そういった表象についての思想的問題系も勿論なのだが、ハンマースホイの絵画を思わせるような廊下や室内の光と陰、あまりに美しい冒頭のピクニックとその後の庭園や小川、カヤックのシーンに込められた多くの映画への目配せがたいへん上手く作り上げられていて見事だった。こういった植物や布や女性たちへの眼差しにもベルトルッチやロメールやルノワールの胸を借りているようなところがある。
ベルリンで見るべき映画をベルリンで見てしまった。
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