このレビューはネタバレを含みます
先輩に何度もお勧めしてもらった作品。
一度見ただけでは全てを把握できない何層にも複雑にファクターが重なる映画。
ジュリアードでの授業について、時代に逆行しているかもしれないがわたしはターに同意。
むしろ、音楽の先生として彼に対して諦めず、ものすごく真摯に対応していたと思う。
ターはどこまで行っても音楽一筋で、それ以外何も見えていない。
マイノリティの話に限って言うと、ター自身はレズビアンで女性として史上初のベルリン・フィルの指揮者になったわけだが、自分がマイノリティの当事者であることと、マイノリティに対する感度が高いこととは比例しないと言うことがよく分かった。
自分の娘にパパと呼ばせることや、彼女の父権主義的な態度は、既存の家父長主義の影響を色濃く受け、そこに疑問を抱いていない事を示唆している。
フランチェスカさえ大事にしていれば後の転落はなかったのかもしれない。
プライドや忖度は時に身を滅ぼすのかも。