藍紺

彼女のいない部屋の藍紺のレビュー・感想・評価

彼女のいない部屋(2021年製作の映画)
3.9
ヴィッキー・クリープス演じるクラリスの脳内、思考の移り変わりを体感させられる映像。記憶と現実、そして妄想が錯綜する。それらを行ったり来たりするクラリスの混乱をそのまま表現していて観ているこちらにも彼女の強烈な苦しみが伝わってくる。終始作品に流れるピアノの音が美しく、シーン毎に希望とも絶望ともとれる音色がストーリーを絶妙に彩る。抑制の効いた表現の中にも怒りや悲しみ、狂気も感じるヴィッキー・クリープスの演技は素晴らしかった。

マチュー・アマルリックは俳優だけじゃなくて監督脚本も出来ちゃう多才な方なのね。公開中に来日してて舞台挨拶とかされてたのをTwitterでお見かけした。私も劇場で観たかったのだけど近場では上映がなかったのでとても残念だった。今回配信でやっと観られて嬉しい。好きなタイプの作品だったので次回作がめちゃくちゃ楽しみになった。
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