藍紺

違国日記の藍紺のレビュー・感想・評価

違国日記(2023年製作の映画)
4.0
人の人生に立ち入りたくない、相手の尊厳を踏み躙ることを恐れる叔母、槙生。母に決定権をほぼ委ね、安全な籠の中で生きてきた姪、朝。両親が不慮の事故で亡くなった朝は槙生の家で暮らすことになる。

姪を愛せるかはわからないけど、彼女に安全な場所を確保することは大切であると考えられる槙生は自分から見るととても誠実で信頼に足る大人だと思えるが、まだ子供の朝からしたら束縛されるほどの愛情が欲しいのだ。わかり合えなくても、人は相手を尊重することはできる。距離感を保ち、違う国の人だって平和に暮らしていける。この思考にとても救われた気持ちになる。

139分で原作全11巻を盛り込むのは大変だったと思うのだが、ホモソーシャルな男社会から退場した男性陣の葛藤や生き方についてのエトセトラが割愛されてしまっていたのは残念だった。特に私が原作で一番グッときたのは父親と朝の関係性についてだったりするので……。瀬田なつき監督は主に女性たちの関係性の方に焦点を当てていて、特に朝と同級生のエピソードに重きを置いていたのかなと思う。四宮秀俊撮影ということもあって十代の女の子たちがキラキラしてて眩しすぎて目が潰れそうだった、と、尊い。新垣結衣、夏帆、早瀬憩がキャッキャしてる姿は永久に観てられます。
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