人知れずなくなっていく場所、新しくできる場所。
過ぎ去って行くひと、新たに関わるひと、繋がり続けるひと。
日々の気持ちの変化。
下がったり、上がったり。
戻ったり進んだり、停滞したり。
少しだけ余韻が残るような、うれしかったこと。
嫌だったこと。
化粧っ気のない顔と無造作に括られた髪、毛玉だらけのコート。
練習や試合の度付け外しする、小さいけれど存在感のあるピアスと、深い青に塗られた爪。
耳が聞こえず手話と読唇術を併用する彼女が経験する、マスクで口元が見えない世界。
日常の一部を切り取ったようなとてもひっそりとした映画でした。
リアルだからこそのおだやかな感情の揺らぎがありました。
余韻は長く続きそうな予感。
16mmフィルムで撮られた映像も、とてもよかった。
古い日本映画のような滋味深い作品を撮る若年層の監督たちがいてくれて、とてもうれしいです。