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ハリー・ポッター20周年記念:リターン・トゥ・ホグワーツのnaoyuki0917のレビュー・感想・評価

3.9
ハリーポッターと賢者の石を読んだのが小学校5年生の頃で、映画の主人公を演じているダニエルがほぼ同い年だったので、本も映画も非常に主人公たちに親近感を覚えながら鑑賞していた。その彼らが、僕と同じ30代となり、そのときに何を考えているのかは、見ていて非常に興味深かった。

映画シリーズが2001-2011年でその10年間を一つの作品に捧げるという彼らの不安はやはりこのドキュメンタリー内でも語られているが、それを「誰も経験できなかったこと」であり「かけがえのない絆を手に入れることができた」と言って振り返る彼らの考え方に、非常に感動した。役者人生として、一つの役のイメージがついてしまうことは必ずしもポジティブな側面ばかりではないはずであり、今も様々な葛藤があるはずだが、それをそのように捉え、「人生において非常にかけがえのない経験だった」と振り返ることのできる彼らは素晴らしい。

僕自身も、自分の今の生き方が良い方向に行っているのか、今を続けてもいいのだろうかと悩むことはあるのだが、それが良い悪い・正しい間違っているではなく、「かけがえのないもの」であり「人とのつながりを得られるもの」と捉えれば、もう少し今の生き方に自信を持てるかもしれないと思った。

また、最後の方に、ネビル役のマシューがハリーポッターシリーズを「健全な現実逃避」と表現しており、非常に的を得ており、腑に落ちるところがあった(彼は作中では冴えない役だったが、実際には非常に頭が冴えるのではないか)。あくまで、大きな括りの中では「娯楽」にカテゴライズされるとは思うのだが、「魔法」という絶対的にあり得ない世界観の中で、現実世界に通ずるような人間味のある登場人物・一言で語れない人間関係・死後も含んだ精神世界を描いたのが本作品であり、そのワクワクさと現実味のバランスが魅力なのではないか。
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