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この子は邪悪のjonajonaのレビュー・感想・評価

この子は邪悪(2022年製作の映画)
4.0
けっこう好きだった。
自分はオカルトの類いが割と本気で好きなのかもしれない。このスケキオ娘の存在感がずっと気になってたけど意外と…
まさかの展開で自分は笑っちゃったけど退屈する人も多いような気もする…思ったより変な映画だった笑

静かで不気味な雰囲気を醸し出すのがうまくて、何が起きてるのかわからないけれど何か起きてる、と序盤惹きつけられた。

ゆるりとしていて詩的なファンタジーのようで、ダークな少女漫画を見てるような時さえある。田舎の診療所ということもあり舞台になる家が古風なお屋敷なので映像がほんと綺麗。

序盤からカットインしてくる心を病んでる様子のさまざまな住居の住人達の姿が異様で、それを撮る少年の姿。ポスタービジュアルを見て一家族だけの話と思いこんでたので意表を突かれた。

しずかだけど演出で時々ギョッとするものを挟んできてくれるので楽しい。ホクロの件がこの映画の中で白眉だと思う。あの緊張感のあとの、ギョロギョロ!は面白いね

診療科の主人たる玉木宏が患者の女性に『じゃあ七才になるよ〜』と言いながら指で八の字を描き腹に響く良い声で年齢をどんどん7歳、6歳、5歳…とおろしていくさまが印象的だった。目の前でその前に鈴をチリンチリーーンと鳴らすのもいい。こういう催眠描写好き。玉木宏の声なら確かに落ちそう。あまりピンときた事はなかったけど玉木宏が今回のは当たり役だなあと感じる。
主人公の南沙良も顔と声が綺麗で雰囲気に一役買ってる。表情に少し乏しいが。

反面、人間の感情が淡々としていて事件が起きたりするまでのスピードが遅いのは少し焦れてしまう部分もある。
色んな要素のテーマを内包してる関係値が生み出されてきてて緊張感を中盤までうまく持続してたように思えるが、終盤はふんわりとした着地に落ち着いてしまいちょっとだけ物足りなくもあった。もっと対立するべきだと思うんだけどなぁ…
最後まで見るとそれもゾッとするオチがついていてなるほどという感じなのだが…これ続編あれば全然みたい。あいつがこれまでどんな風に生きてきたのかスピンオフ作って欲しい。笑

🦑ネタバレあり
主人公が根本的に受動的すぎて実際は物語の『目』以外の役割を果たしてないところが難点なのかもしれない。全体的に上品でおとなしすぎる印象だった。

退行催眠で0歳より前に戻ると人の意識が不安定になり魂が浮遊する。そのため別の魂とすり替えることが可能になるというのはなかなかにトンデモ設定で非常に面白かった。
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