正直あまり期待していなかったのだが、なかなか面白かった。
観る直前にそれと知ったさすがのA24作品。悪魔や悪霊などのスーパーナチュラルは出てこず、ストーリーは至って単純。そしてワニのいる池の俯瞰など凝ったアングルを始め映像がしっかりしていて観やすい。痛そうなシーンが、本当に激痛そうでビビるけど。
1979年が舞台で映像トーンが当時のB級ホラーっぽいフイルム調な雰囲気に仕上げられていて、レンタルビデオを知る世代なので懐かしい。アメリカの片田舎の惨劇とくれば、どうしたって「悪魔のいけにえ」を思い出す。「X」というタイトルは、文字通りXレーティング（成人向け）のことで、ポルノ映画を制作しようという6人がやられちゃう側でエロシーンが多い。同時に「“Xファクター（特別な才能）”がある」という劇中のセリフとも繋がっている。
観終わってから解説で知ったのだけど、サイコパスでシリアルキラーな婆様パールとドラッグばかり吸っている若い娘マキシーンを同じ役者ミア・ゴスが演じているのだと。夜の話で暗いから分かりづらいし、そもそも知らなくても本作では別にかまわないのだけれど、あまりに対照的なふたりをひとりに演じさせるとは面白い。さらに次作との繋がりを考えるとオシャレだし。
今後、三部作として展開、次作ではミア・ゴスがパール役を演じる前日譚なんだと。本作では謎のままだったアレコレが深掘りされるのだろう。劇場に出張る気力はないけれど早く観たい。
