洒落怖で最も有名な話の一つ、きさらぎ駅を題材にしたホラーです。
元の話は全て読んだことがないので概要しか分からないのですが、電車を通して異世界に行ってしまうという設定がホラーでありつつSFっぽさがあり、呪いや伝承などの厄介な怪異とは違った面白さがありました。
遭遇する怪奇も予測不可能でクリーチャーと化した人間が、これまた予測もつかない方法で一人また一人と死へ誘います。
しかし、この作品では最初にきさらぎ駅に迷い込み帰ってこれた人間がいるという点に大きな意味があります。
生き延び異世界から脱出した女性から詳しく話を聞いた学生は特定の条件を満たすときさらぎ駅に行けると考え、自らきさらぎ駅へ向かいます。
電車には聞いていた通りの人物達が乗っており、その行動パターンも話に聞いた通り。彼女は事前に得た知識を用いて死者を最小限にとどめ異世界からの脱出を試みますが…このオチが最高で単にきさらぎ駅だけが恐ろしいのではなく生身の人間の手段の選ばなさも恐ろしいという二重の怖さがありました。
また、更にそのオチから因果応報的な2段オチもあり、うまい具合にループしていて面白かったです。
とはいえ、何が起こるか分かっていても突然、一応は人の姿をしている人間をいきなり石で殴るのはどん引きですよね(笑)
題材を生かして登場人物を絞ったことで伏線も生かされていてストーリーも楽しめました。面白かったではす!