このレビューはネタバレを含みます
二度鑑賞することで、深く理解できる作品ですよね。
立場を超えた友情の話かと思いきや、そこは全く中心じゃない。殻を破った男の愛の物語。
とりわけ、サソリとカエルの話の意味の持たせ方が秀逸すぎて参った。
初見では普通にイギリスとアイルランドの関係性、ジョディとファーガスの関係性の話だと思った。
それが、物語が進んでから脳内を巻き戻すと、
「あれは同性愛のサガの話も内包させていたのか……!?」
と思えてくる。
しかも、ぼんやり見ていると気づけない塩梅で置いてくるところが絶妙。このダブルミーニングは巧すぎでしょうよ。
刑務所に面会に来たディルに聞かせたサソリとカエルの話は、溺死すると分かっていながらカエルを刺すサソリを自分に準えたんだろう。
長期間、刑務所行きになることを分かっていながら庇った。
この恋に溺れることが分かっていたけど、敢えて溺れにいった。
それだけディルに対して深い愛を捧げられる自分を発見したファーガスのカミングアウトだったのだと思うな。