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小さき麦の花のoliveのレビュー・感想・評価

小さき麦の花(2022年製作の映画)
3.8
スマホもある、BMWも走ってる、どう見ても昔の話ではなさそうだ。底辺中の底辺、バカにされ疎まれながら肩寄せ合って生きる二人。
私は昔から地平線を見てみたいと思ってるけどこの中に見える地平線はあまりにも寒々しく広大で私が思った開放感は感じられないようだった。これほど開けた景色にこれほどの閉塞感とは。
いつもいない人のように扱われ話をする時は何かに利用しようというときだけ。なのに抗わない、淡々と誠実に生きる。
音楽がないので生活音の中に二人の息が呼応するように聞こえるのが迫ってくる。
世の中の全てが敵であってもたった一人の思い人と暮らせるなら幸せということか。悲しく美しい夫婦、許せない人々に憤りを感じるもののもし私が隣人だとして温かい言葉の一つもかける自分だろうか?自分の中にある嘘や欺瞞を突きつけられてる気もした。
「まだこき使われたいのか、哀れな奴め」と吐き捨てる、彼のやりきれなさが痛切だ。
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