Jun潤

小説家の映画のJun潤のレビュー・感想・評価

小説家の映画(2022年製作の映画)
3.5
2023.07.08

(多分)予告(それかポスター)を見て気になった作品。
創作活動から遠のいていた小説家と女優による映画作りモノ。

長らく新作を出していない女性作家のジュニは、かつての後輩を訪ねて遠方へ足を延ばす。
後輩の紹介で立ち寄った観光名所では、過去に一緒に映画を制作した監督とその奥さんに偶然再会する。
監督たちとすぐ側の公園を一緒に歩いていると、映画に出演しているのを観たことがある女優のギルスと初めて出会う。
意気投合したジュニとギルスが昼食を共にしていると、ギルスの先輩という女性から連絡が入り、急遽その先輩の元へジュニも一緒に行くこととなる。
ギルスの先輩というのは、先ほど再会したばかりのジュニの後輩だった。
同席した詩人の男性と共に話が盛り上がり、ジュニは思いついたばかりのギルスとの短編映画制作への意欲が高まっていく。

ほとんど事前情報を入れずに鑑賞したので、モノクロ作品ということにまず驚きました。
カメラワークやストーリーについても、定点カットの長回しが大半を占めており、物語やキャラクターが大きく動くというよりも会話のみで展開させていくような形。

ジュニを中心とした会話の中で、人同士の繋がりの輪がメインとなっていた印象で、作品を通してはものすごく淡々としていたように思います。
そこから始まる映画制作については、過去の繋がりや新しい出会いを起点にするものは現実にもあるのかもと思わせてくれました。
しかし具体的にどういった感情の動きがあってジュニが映画制作に臨んだのか、その想いを作品に乗せることはできたのかは、こちらの理解力の問題からか計り知ることはできませんでした。
それは観る人による部分が大きいと思うので、作品の完成度如何については言及しかねますね。

しかしモノクロの定点カットが一貫していたため、終盤で色のついた画面が動くのを観せられると、感情を微かでも動かされたように感じました。
Jun潤

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