くう

PLAN 75のくうのレビュー・感想・評価

PLAN 75(2022年製作の映画)
4.0
観終わって、ひたすらドンヨリする。自分の身に置き換えて考える……という視点は、とりあえず置いておいて。

この作品の宣伝でも紹介でも「死を選べる」と書かれているけれど「選べる」社会ではないよね。確実に洗脳や追い込みによって選ばさせられている。現実世界と同じ。

初めに語られる戦時下の国家に対する日本人の性質。この作品の中でそれは緩やかに温和に行われる。

年齢層の分断を埋め込まれ、緩やかに追い込んでいく国は恐ろしい。この近未来が本当にやってきたら、それは人間の存在の終わりだと思った。

結果的には、感情は洗脳に勝てないのだということが描かれた話だと思った。そうであってほしいし、そうでなければただ恐ろしい。

プランの窓口を淡々とこなしていた青年役の磯村勇斗さん。洗脳社会に翻弄される老人を演じる倍賞千恵子さん。伯父役のたかお鷹さん。皆さん静かな世界にハマり、作品にリアリティをもたらす。

世界に注目されるべき映画であることは確か。「高齢化社会」を考えるより、「洗脳社会」について考えさせられる。
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