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PLAN 75のkのレビュー・感想・評価

PLAN 75(2022年製作の映画)
4.5
台詞に頼らない緻密な脚本、なんてことないかと思いきや後からじわじわとその凄みが身体に染み付くような俳優陣の演技。
空間で伝える演出、腹の奥でなるかのような叙情的な音楽。

商業的な邦画とは一線を画してました。こんなに刺さると思ってなくて、映画館を後にしてからの落ち込みが半端じゃなかった。

倍賞さん、声がいいのよね…。

超高齢化社会とはいえ、この資本主義社会で死を選ぶ権利って果たして人権なんだろうか。

さりげなく「経済効果パないから65歳からも検討中」みたいなニュースも流れるのがゾッとした。

弱者を追い込む社会構造が変わらない限り、どんな制度を導入しても国は豊かにならない。
展開の随所に監督の怒りみたいな、「この国がこのままでいい訳がないだろう、しかし一部だけを変えようが変わらないんだからな」と感じている強い感情を勝手に受け取った。
plan75という制度、非常に"日本らしい"と思う。えげつな気持ち悪かった。

75歳を過ぎれば死ぬことが正義みたいな、制度によって国全体の意識が自然とそうなってゆく。
それは歯止めが効かなくなる。この国はそういうことばかり進める。

制度によって守らなければならない人権は守ろうとしない。

生きていくことに絶望させられる。それでも、夕日は美しくて。山の緑は濃くて。

生きたいと思う気持ちを肯定してくれるのは、誰なのか、なんなのか。
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