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すべての夜を思いだすのkのレビュー・感想・評価

すべての夜を思いだす(2022年製作の映画)
4.3
私もそのうち、他人が流す音楽で勝手に踊るヘンなおばさんになってやるんだから。

映画を取り巻く状況だったり監督の誠実な対応だったりがSNSで見受けられ、動向をかなり気にしているので、どんな映画かちゃんと観ておこうと思い。

私が馴染み深い団地は、関西の(他人のことこう言いたくはないけど)貧困家庭が多い田舎の団地。多摩ニュータウンの柔らかく朗らかな空気をまとった団地は、ハッキリ言って親近感が全く湧かない、と序盤はそっぽを向きたい気持ちだった。でもこれはこれで良くて、気づいたら私のまちみたいな気持ちになってくるのがおもしろくって。きっと光の使い方が良いんだ。

うっかり残念な女と言ってしまう、3人。
見上愛さんが演じた大学生はちょっと、出で立ちが美しすぎるんだけど、やっぱり、これまでカメラが静かに追うような人ではなかった。それにしても見上愛さん、良い!素敵に歳を重ねてね、と願わずにはいられない。

「私、今日誕生日なんですよね」とかハローワークで言う中年女性、ハッキリ言って、おかしすぎるから!ほんと、うまい。
昔働いてた職場に、休憩中に急に同僚に自殺しようと思った話をし始める、私たちより一回り半くらい歳上の女の人を強烈に思い出した。
あの人、もしかしたらあのままこの映画に出れるかも。本当に奇妙な人だったの。
悪い人じゃないけど、イヤーな人ではあったの。もうほんと忘れてたけど、この映画では主役になっちゃうかも。

「火を絶やすな」このセリフってかなり、切実に響く。火は私たちの心の中で大切にしなきゃいけなくて、日本の映画業界では、本当に、悔しくてしかたないけど、何人が火を絶やしてきたことだろうか。
火を絶やすな。
絶やさないように、一緒に手持ち花火するみたいに、手を取り合えたら。
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