エリオット

PLAN 75のエリオットのレビュー・感想・評価

PLAN 75(2022年製作の映画)
4.0
「フラット35」なら聞いたことはあるが「PLAN75」は初めて。

人が自らの死を決定できる権利について、例えば尊厳死の場面などで厳格な要件のもとで認める見解はなきにしもあらずだと思うが、年寄りをとんでもなく生きづらい状況に追い込んだうえであなたには死ぬ権利がありますなどと権力側が言うのは「口減らし」「姥捨て」以外の何ものでもない。
本作も、架空の制度の是非を問うというよりは、今後、高齢者が生きやすくかつ若者に負担がかからない世界をどうやって築いていくかという問題を提起している。
ということで内容が若干説教臭くなるのはしょうがないのだが、そこは、とてもまっとうで品の良い生き方をしている女性をあの倍賞千恵子が演じ、また、最近特に良い作品に数多く出演している河合優実との心が優しくなるようなやり取りが入ったりすることで、見るのが辛いなどということにはならなかった。

フランスのスタッフも入っているということで、編集や照明などどこかヨーロッパ的な雰囲気もあり、とくに雲間から除く陽の光、倍賞千恵子の顔に当たるライトの色合いなどが印象的で、絵的にも素晴らしかった。
エリオット

エリオット