ファティ・アキン監督は「女は二度決断する」以来だけど、こんなエンタメ盛り盛りの作風だったかな？
実在のラッパーの話という事前情報だけだったのでアーティストのサクセスストーリーかなと思って見始めたらとんでもない、基本、イランに生まれたクルド人青年の破天荒な半生の物語。
歴史の波に呑まれてドイツに亡命するもインテリ音楽家の父親がクソ野郎だったりして主人公はドロップアウト。
殴られたら殴り返す、金を稼ぐのに手段を選ばない…で、やがてカッター（危ない奴）はマフィアの仲間入りまでして…
観客はどこに連れて行かれるのか分からないままいろんなところに引き摺り回されるが、バイオレンスな主人公もどこか可愛げがあって笑えるところもしばしば。
本国で大ヒットしたのも納得のよくできたエンタメ映画だった。
