老人ホームでの殺人事件。
映画のようなことが現実に起こる日本。
このPLAN75も、現実になってしまうのではなかろうかという気になる、まるで近未来をみたかのような憂鬱が残った。
様々な死に直面し、安楽死について考えることがある。
この映画は、その安易な考えを現実にするとこうなんだよと突きつけられたよう。
安楽死を認めたことが、安楽死を受け入れないことを非とし、受け入れるべきものとなっていく。
個の尊重が、日本流の家族のため、社会のために死を選択させる。
まるで年をとったことが罪であるかのように、処刑を待つ。
テーマは深く、とても考えさせられるものではある。
そして、その後期高齢者を倍賞千恵子が演じることで、これほどに凜とした方でさえという演出が重さを増した。
しかし、エンタテインメントとしては重く救いがない。ラストシーンの天国の階段のように光が欲しかったので自分的好みで低めの評価。