らっく

誰も知らないのらっくのレビュー・感想・評価

誰も知らない(2004年製作の映画)
4.3
是枝監督作品のなかでは、一番好きかもしれない。

警察や役所に相談すると4人一緒にいられなくなるから。

母親が長男 明に、父親のちがう3人の兄弟を託して家を出てしまう。
やんちゃそうな面影を持つ明は、そう言って誰にも言えないまま、家族を守る。
兄弟を気遣いながら食事の仕度をしていたが、髪が伸び、妹の使うクレヨンが減るにつれ、母を待つことへの期待をなくし、家は乱れていく。

弟妹を守るオトナの眼差し、遊びたい気持ちを抑えられなくなったときのやんちゃな顔。自分の力のなさに脱力する姿。柳楽優弥の受賞は全く納得。

コンビニのお姉さん、野球部の先生、大家さん。助けてといえる藁はいくつかあったのに、掴めない、掴まない悲しさを感じた。

彼らはいつまで、どこまで誰も知らない存在でいるのだろう。
万引きでも、何でも、つかまってほしい…
4人でいるには、4人が生きてなくては。
らっく

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