阪本嘉一好子

メッカに向かっての阪本嘉一好子のレビュー・感想・評価

メッカに向かって(2017年製作の映画)
4.8
Fareed(ジェイ・アブド、シリア生まれの俳優)は妻をモスリムの儀式によって、メッカに向かって葬らなければならない。しかし、難民でスイスに住んでいるが、『メッカ、大事』とRoliに伝える。Roliは四苦八苦して彼の要望に応えてあげる。墓はメッカの方向を向いているのがこの地方にはない。 Amrikon council は多数決で、二十五年間、埋葬し、その後、ほりおこす許可をした。モスリムの
で墓は永遠で、掘り起こしてはパラダイスに入れないと。

ここで、気になったのは、妻の遺体を直接シリアに送れない。ベイルートまで行って、それから車でと。えー??? じゃあどうするのか???? 後半にモスリムの葬祭者の男性が、力になってくれるようだが。彼はアラブ語を話さないようで、スイスに同化しているが、祈りの言葉だけはここで使っているようだし、賄賂じゃないけど、『酒でも飲め』とのRoliが 謝礼を渡す時のこの言葉を否定している。チップとして余剰金を受けたが、性格的に、律儀なところが、私の知っているモスリムの人たちのようだ。

Roliの退職生活だってあるのに、夫婦で旅行する予定だったのに.....
旅行をキャンセルしたということはそのお金を Fareedの家族のために使えということだと思う。自分たちが旅行して楽しむことより、人を助けるためにお金や努力を惜しまない、慈善の心のある寛大な夫婦だね。

移民、難民、季節労働者、技能者など海外からのモスリム教の人々も、自国を追われ、新天地を探しヨーロッパ諸国、米国、日本などにも入国している。それに対して、どの国も賛否両論があり、手放しで受け入れたり、また、拒絶している国もないようである。自分の国に住みたくても住めない人々に温かい心で接していて、自分より優勢している 退職生活者のRoli夫婦には頭がさがる。