さわだにわか

花札渡世のさわだにわかのネタバレレビュー・内容・結末

花札渡世(1967年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

メロ度数諦念度数ともに強めの任侠ノワールで、『スカーレット・ストリート』みたいな映画だったらそこでエンドロールが出るような劇的に渋甘な別れの後で、これは任侠映画であるからちゃーんと梅宮辰夫の殴り込みが用意されていたが、それで溜飲が下がるかと思ったら大して下がらない。むしろ口からなんか吐く。

死ぬ前に一花咲かせてやるよ的な任侠美学を語る梅宮辰夫に西村晃が地獄の笑顔で痛烈カウンター。咲かしたいんなら大陸へ行きなよ、今は兵隊ならいくらでも必要さ(完全にうろ覚え)。
義理も人情もあったもんじゃないえげつない男ども女どもにさんざん翻弄された末に誰に言うでもなくポツリと呟く梅宮辰夫の一言。俺がやってきたことは一体何だったんだ。その後景には出征行進の旗が見えた。

梅宮辰夫の心象風景を四季折々の風景と花札の絵柄になぞらえる文学趣味、鋭利なダイアローグとグロテスクな人物造形が素晴らしかったし、なにより誰ひとりとして救われなくて最高だった。
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