しゅうへい

胸騒ぎのしゅうへいのレビュー・感想・評価

胸騒ぎ(2022年製作の映画)
3.0
『胸騒ぎ』(2022)
■原題:Speak No Evil
■予告:https://youtu.be/jRN01DXHVJ0?si=w1vjKjsKRL-h020M

「誰にも言えない、届かない」

■デンマーク人夫婦のビャアンとルイーセ、娘のアウネスは、イタリアで休暇中に意気投合したオランダ人夫婦の自宅へ招待される。人里離れた彼らの家を訪ねたビャアンたちは、再会を喜んだ。しかし、その喜びも束の間、彼らの歓待に居心地の悪さと恐怖を覚え…。

■デンマークの鬼才クリスチャン・タフドルップ監督・脚本。休暇を過ごしたイタリアで出会った家族の家を6カ月後に訪れ、気まずい思いと我慢を強いられる羽目になった経験から本作の着想を得たという。ある善良な家族を襲う悪夢のような週末を描いたデンマーク・オランダ合作によるヒューマンホラー。

「旅先で偶然出会った親切な家族。
何かがおかしい、彼らの“おもてなし”」

平穏な家庭とは裏腹に、“胸騒ぎ”を覚える不穏な音楽。序盤から中盤にかけて不安を煽りに煽られる。映画的なお約束は悉く打ち破られ、最後まで予測不能。公共の場で子供を叱り飛ばす親、その光景を見て感じる、不安・不快感・気まずさ。実生活で誰しも身に覚えがある、この心理状態が随所に散りばめられた逸脱なホラー。呆れて苦笑いしたり、思わず目を背けたくなったり…。日頃の対人ストレスを映画でも味わうことになるでしょう。

どこかの誰かの教訓になれる作品。人それぞれの価値観、国民性、関係性、距離感…。直感的な違和感はあながち間違いじゃない。その違和感も塵も積もれば山となり爆発。簡単に人を信用しない、期待しない、心を開かない、警戒を怠らないよう。適切な距離感を保ち、状況を一歩引いて見ている自分が必要。言葉を選ばず大袈裟に言えば、(家族を除き)人類皆他人。無理して付き合う必要はない。

『ミッドサマー』『イノセンツ』に続く、北欧が放つ最狂ヒューマンホラー。こんな宣伝文句を書かれて釣られない訳がない。上記二作品は大満足の出来。後者はベストムービーにランクイン…。満を持して今作。ここまでお通夜状態になりますか…?ってハナシ。鑑賞後、観客皆俯いて溜め息。でも、この鬱っぽい胸糞悪さを求めて観たから大正解。
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