しゅうへい

オールドのしゅうへいのレビュー・感想・評価

オールド(2021年製作の映画)
2.5
『オールド』(2021)
原題:Old

「そのビーチでは、一生が一日で終わる。」

■人里離れた美しいビーチに、旅行で訪れた複数の家族。それぞれ楽しいひと時を過ごしていたが、6歳の少年が突如姿を消す。息子を懸命に探す母親だったが、彼女の前に青年へと急成長を遂げた息子が現れる。その場所では時間が恐ろしいほどのスピードで流れ、彼らは皆急速に年老いていたのだった。

■異常なスピードで時間が流れ、急速に年老いていくという不可解な現象に見舞われた一家の恐怖とサバイバルを描いた謎解きタイムスリラー。グラフィックノベル『Sandcastle』にインスパイアされた作品。

「自身の老いへの恐怖や驚きに重なるものを感じ、映画にしたいと思った」と語る監督。コロナ禍の2020年に撮影が行われ、閉塞した時代を映した死生観や、社会風刺を含んだシャマラン節炸裂!

30分で1年…その場所は時間の流れが異常だ。急激な老化を止める術はあるのか。未知の物質に囲まれた逃げ場のない特異なビーチで、一人また一人…。傷はすぐ治り、病は急速に体を蝕む。子供達は自らの心身の成長に戸惑いを隠せない。ただ皆状況の読み込みが早い。(早すぎる)時の流れと老いへの恐怖。“走馬灯”と似て非なるナニカ。これは最悪な歳の取り方。

単純明快な設定。あらすじがほぼ全て。想像通りのイベントが発生し、結末まで予想できてしまった。ビーチで巻き起こる出来事の一つ一つに荒さを感じる。演出や雰囲気は良かったものの、登場人物がほとんど喋っちゃう。ラストは爽快感に欠けるし、「もっとやり返せよ…」と悶々とした感情だけが残った。シャマランの作品、どれも魅力的なのにイマイチ刺さらない…。

それはさておき、メッセージ性は抜群。「今を生きることの大切さ」「時間に打ち勝とうとするのではなく、この瞬間を堪能すること。」生と死、病と孤独。コロナ禍で密接に感じたモノを改めて実感できた。老いをただ待つのでは無く、日々を謳歌しよう。
しゅうへい

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