まういはら

胸騒ぎのまういはらのレビュー・感想・評価

胸騒ぎ(2022年製作の映画)
4.0
ずっと見たかった北欧スリラー。
原題は「speak no evil.」見ざる、聞かざる、言わざる。
こっちの方がしっくりくる。

ここ数年、いや自分の短い映画人生の中でベスト級に胸糞悪い映画だったかもしれない。
「ファニーゲーム」の現代版みたいな感じか。

見知らぬ他者によって自分のテリトリーが侵されていく恐怖を描いた映画が大好きなのだけど、今作はさすがにあまり人にはおすすめしないかも。特に小さい子供のいるご家庭には120%おすすめできない。

ただこの映画の白眉はやはりデリカシーのないオランダ人夫婦の、嫌だけど、ギリッギリでまぁ我慢すればいいか(いやほんとに嫌だけどね)と思わせてくる絶妙なラインが、リアルすぎて特に日本人はあるあるなんじゃないかというところ。
他の映画だと、実はここがよりエンタメに寄っていくポイントでもあるので、急に突拍子もない(人肉食べてましたーとか)展開が始まるんじゃなくて、じっくりじっくり、文字通りこちらの胸騒ぎをわかっているかのように不快感を募らせていく演出が見事だった。そりゃ上映してすぐにブラムハウスがリメイク権を買うわけだよ。

あとこの映画を見て、「旅行先で出会った人には気をつけよう!」とか「最悪のバッドエンドが〜」とか、「あの夫婦の考察は〜」じゃなくて、1番の伝えたいところは「speak no evil.」という何も相手に言わない(気を遣って)と、どんなことが起きるのか、ということを描いてるというとこだと思う。(無関心とも近い)
監督の体験談から話を膨らませたらしいけど、めちゃくちゃ日本人に向けた話に思える。
やはり他人と自分の距離の詰め方の怖さ、その怖さを感じていない、いぇーいみんな友達だから飲もうよー!みたいなやつがいかに怖いか、良い人だと思っていたけど、ほんとにその人のこと知ってる?やばい一面が見えても、これがうちの教育方針なので。と言われたら子供にどんなことしてても口をはさめない、とか。
人間関係って怖ぇー。。
まういはら

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