まゆ

僕らの世界が交わるまでのまゆのネタバレレビュー・内容・結末

僕らの世界が交わるまで(2022年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます


やっぱり原題がいいのだけど、ちょうど今朝「洋画は上映決定権?を持っている劇場の意向で、真意をつくよりも分かりやすいタイトルに訳されることが多い」「真意をついたタイトルに惹かれて観にくる映画ファンよりも、わかりやすいタイトルに惹かれて観にくるもっと大勢のことを大事にしたほうが興行収入に繋がる」っていう記事を読んで、なるほどな…と思ってしまった。
でも私はやっぱり原題のほうがいいと思う。分かりやすく訳してもいいから、それなら原題ももっと押し出すとかすれば?

母親エヴリンと息子ジギーが、本当の意味でお互いのことを発見するまでのお話だと思った。それまでの2人は、自分の主張しか頭になかったり他の場所に理想を求めたりしてかなり痛々しかった。
特にエヴリンが他人の息子カイルに自分の理想の息子像を押しつけて、最終的に拒絶されるところは見てられない。もちろん良かれと思ってやってるのだけど、カイルが最初それを受け入れるのはシェルターから追い出されると困るからで、自分が無意識のうちに強者の側に立って相手を搾取していたことにエヴリンが気づくシーンは本当にいたたまれなかった。強者とか搾取とかそういう事象そのものが悲しかったというよりは、喜んでもらえてると思っていたのに純粋な反応ではなかったんだというショックなんだとは思うけど。
ジギーも、好きな子一直線でいろいろ空回りして、何も分からないのに無理に一緒のイベントに参加したりするの本当にイタイ。あんな男の子好きになるわけない笑 ライラの詩にメロディをつけて聞かせたところでうまくいくかな?と思ったけど、やっぱり本質を理解していないから「お金になる」とか言ってライラを怒らせる。この映画の中では、ライラの好きなものが政治とか環境問題とかだからちょっと共感しづらいけど、普通に好きなコンテンツとかの話題に知識もないのに入ってきて見当違いなことされるのと同じですよね(ですよね?)

2人が理想を求めた先で拒絶されたときに、ふと近くにいる人のことを久しくちゃんと見ていなかったことに気づくシーンは美しいなと思った。YouTubeでジギーの歌う動画を順番に観ていくエヴリン、シェルターにふらっと寄って母の仕事ぶりを感じるジギーがお互いを見ようと思えたのは、まさに世界を救うのをやめたとき。


まあ、余談ですけどジギーの頭が空っぽすぎてちょっとおもしろかったです…政治的な話題に対してあそこまでなんの感想も言えないとは…感想でもなんでもないわ、「政治的な話をしてるときの君は正直でアツい!」って、政治的な話が好きなタイプの子がいちばん嫌う感想な気がする笑 ライラが最後に言い放つ「世界を変えるなんて無理。世界を変えるのは地道な仕事と関心よ」っていう言葉、偶然にもそのままこの映画の全体の話に繋がると思うんだよな。

また余談ですけど、イットのリッチィ、大きくなったね…ストレンジャー・シングス観てないから、久しぶりに演技してるの見た。あんまり好きな顔じゃないけど、この子の顔好きな人多いよね。
まゆ

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