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ザ・ホエールのayellowbirdのレビュー・感想・評価

ザ・ホエール(2022年製作の映画)
3.7
ダーレン・アロノフスキー監督が、ブレンダン・フレイザーを主演に迎えた人間ドラマ! 劇作家サム・D・ハンターによる舞台劇を原作に、死期の迫った肥満症の男が娘との絆を取り戻そうとする姿を描く。
272キロの巨体の男チャーリーを演じたフレイザーが第95回アカデミー賞で主演男優賞を、メイクアップ&ヘアスタイリング賞とあわせて2部門を受賞。
40代のチャーリーは、ボーイフレンドのアランを亡くして以来、過食と引きこもり生活を続けたせいで健康を損ねてしまう。アランの妹で看護師のリズに助けてもらいながら、オンライン授業の講師として生計を立てているが、心不全の症状が悪化しても病院へ行くことを拒否し続けていた。自身の死期が近いことを悟った彼は、8年前にアランと暮らすために家庭を捨ててから疎遠になっていた娘エリーに会いに行くが、彼女は学校生活や家庭に多くの問題を抱えていた…。

ブレンダン・フレイザーの鬼気迫る演技が秀逸! 272キロの巨体の男チャーリーを演じるため、フレイザーは、自身の体重増量に加え、特殊メイクとファットスーツを着用。登場時から圧倒的な存在感を身に纏っている。スマホを落としても自分では拾えず、歩行器なしでは、歩くことも困難。過食と引きこもり生活が原因と言うが、逆に272キロになるまで死に至らず生き続けたチャーリーに驚きを覚える。ただ、過食症のきっかけが、妻子を捨てて走ったボーイフレンドのアランを失ったことに端を発するとなると、同情の余地なく共感性に欠ける。チャーリーが家を出ていった様子などが、もう少し丁寧に描かれていれば、チャーリーへの共感性が高まったかもしれないが、少なくとも娘に見守られつつ、孤独死を回避できた点では、チャーリーは幸せだったと言えるように思う。
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