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ザ・ホエールのるのネタバレレビュー・内容・結末

ザ・ホエール(2022年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

ラストで涙が止まらなかった
どうしてこんなに泣けるのかも自分じゃ理解出来なかったけど泣いた

チャーリーって頑固で自分勝手で優しくて人間みのある人物だなと思った
チャーリーだけじゃなく、他の登場人物もみんな優しさも酷さも内包してて、この多面性が人間らしさなんだろうなって感じた
宣教師の彼は助けたいと言いながら自分の思想を押し付けて、相手の心には寄り添えてない独りよがりな偽善
エリーは攻撃的で人を揶揄って楽しんでるけど、父親に捨てられたことをずっと忘れられず傷付いてる繊細さがあるし、暴言を吐きつつもチャーリーの元には通って完全に見捨てることはしない(通わなくても多分お金はもらえるだろうし、それはエリーも分かってるはず)
元妻は男作って出て行った元旦那なんて、お金をもらってたとしても恨んでも恨みきれないはずだけど、チャーリーへの情は捨てきれない感じだし
チャーリーの音を感じながら話すシーンは切なくて泣いた
死に向かってるのに、それに抗うこともしてくれない友人の世話をするなんて想像を絶するつらさなのに最期までチャーリーの側にいるリズは本当に強い
持ってるお金は自分自身には使わずエリーに渡そうとするチャーリーは残酷だなって第三者目線的には感じた
毎日毎日チャーリーのことを思って家に通ってるリズにとってチャーリーが死んだ時どんなにつらいか、チャーリー本人は分かってないんだろうね
ピザ屋のダンもチャーリーの容姿を見て驚いて立ち去るけど、配達の度に声をかけて気にかけてくれるような優しさもある
結果的にチャーリーを傷付けたことは事実だけど
逆に窃盗の罪をバラすなんて、どう解釈しても悪意しかないけど、結果的にはあの宣教師を救ったってパターンもある(あの行動が本当に善意からだったとしたらエリーのことを理解出来る気がしない)

自分の態度や行いが、自分の想定した通りに運ぶとは限らないのが人間の難しさだし人生の複雑さなのかなと考えさせられた
まじで難易度高過ぎだわ世界

静止にも聞く耳を持たずに自分の考えを押し付けてくる宣教師に対して、チャーリーが自分とアレンの馴れ初めを語るシーンは正直最高の意趣返しだと思った
お前の言葉がどれだけチャーリーを不快にさせたかやっと分かったかって気持ち(多分そこは宣教師気付いてないんだろうな)

鯨のエッセイはずっとアレンが書いたと思ってた
あのエッセイをずっと大事にしてたと知って、エリーの心が少しでも溶けるといいな

案外正直さと邪悪さは紙一重なのかもしれない
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