ちこちゃん

ザ・ホエールのちこちゃんのレビュー・感想・評価

ザ・ホエール(2022年製作の映画)
4.7
素晴らしい作品です
肥満性心筋症になった主人公チャリーが死期を悟り、8歳の時にパートナーと駆け落ちするため、捨てたしまった娘の人生を憂い、人生を輝かせるものにするため、残りの日々をかけようとする映画です

娘との絆を取り戻す、というのとは少し違うように感じて、娘が人を信じれなく、孤独でいることから救いたいと思い、娘に会うということです

一つのメッセージは、人は人を救うことなどできない。だけれど、人のことを気にかけずにはいられないし、人に関わるものである

もう一つは、白鯨がベースになっていますが、足を食いちぎった鯨は感情がなく、食いちぎったという事実を受け取る側がどう受けとるか、鯨を怨み続け、そこに一生を費やすのか、ということです
これはある種のメタファーとして、この映画では扱われているようにおもいました。
チャーリーが母娘を捨てたことであったり、チャーリーの唯一友人であり、パートナーの妹であるリズの父親がアランの同性愛を許せず、死に追いやってしまったことであり、もしくは、その宗教そのものであるかもしれません。
それらの「鯨」をそれぞれが抱えながら、それにどのように関わるのか、といつことが描かれているようでした

全ての人が優しさをもちながら、何らかの過ちを人生でおかす。そう、過ちをおかさない人間などいないのですが。
それゆえに傷つき、それを抱え、抱えることでさらに傷つく。そして、その過ちは、事実としてその人の中に存在し続けます。まるで鯨を恨み続けたエイハブのように。

登場人物6人、全ての出来事はチャーリーの部屋で起きます。それでいて、これほど感情を揺さぶる映画ぎ作れるとは!
素晴らしい作品にまた出会えました
そして素晴らしい役者の方々。
素晴らしいです
ちこちゃん

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