第95回アカデミー賞主演男優賞、メイク・ヘアスタイリング部門受賞作品
主人公の部屋だけで描かれ、まるで舞台のような密室劇だと思ったら原作が舞台作品との事。納得。
愛する人を救えなかった苦しみで自暴自棄になり、巨体になってしまった主人公。歩く事もままならず、彼はずっと家の中にいる。
彼の家はシェルターであり、彼の巨体は
色んな後悔の積み重ねで出来上がっている。
まるで海の底でひっそりと巨体をくねらせている鯨のよう。
彼は自分の死期を悟り、愛する人と結ばれるために捨てた娘と対話をする。
誰も人を救うことは出来ない。
宗教が人を救えるのか?
人は人を救えるのか?
その答えはラストにある。
演出の潔さに唸らされた。
彼は誰かが書いた白鯨のエッセイを心の拠り所としているが、この使い方が非常に洒落ていた。
主演男優賞を獲得したブレンダン・フレイザー、お見事だった。見る価値のあるお芝居。