IT坊や

ハッチング―孵化―のIT坊やのネタバレレビュー・内容・結末

ハッチング―孵化―(2022年製作の映画)
3.4

このレビューはネタバレを含みます

フィンランドホラー。

ところどころ、絵のチャチさはありますが、オシャレで静謐な雰囲気は素晴らしい。「イノセンツ」もそうですけど、北欧のホラー良いですね!

母親による抑圧、条件付きの愛情、浮気と秘密。情緒的な加害がこれでもかと描かれている本作。
「せめてあなただけは私を幸せにして欲しかった」、あのセリフ、きついなぁ。よくあんな酷いセリフを思いつくよなぁ…。

当然、主人公の精神は保つはずもなく。怒りや悲しみ、不安を全て卵に詰め込んで、「それ」が生まれてしまいます。ぼくは、「それ」は非行のメタファーであると受け取りました。

暴走しているけれど、それは同時に主人公を守る行動であり、それがなければ、彼女は過酷な現実を生き残ることができない。外見が徐々に主人公に近づくのが分かりやすい証拠ですが、「それ」は彼女の一部なんですよね。

そういった視点で見てみると、ストーリーはかなりシンプルで、分かり良いものに思えてきます。

ラスト、母親が主人公の言葉に耳を傾けず「それ」を殺せば全て解決だと思い込んでいるところや、結果的に、純朴さを情緒する主人公を殺してしまい、「それ」が彼女になり変わる描写も、非常に示唆的だと感じます。

洗練される余地はあるけど、独特な雰囲気に、嫌〜な人間描写。かなり光るものがある作品でした!面白かったな〜!
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