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グッド・ナースのdojiのネタバレレビュー・内容・結末

グッド・ナース(2022年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

セピアの色彩設計の中でスリラーとしての恐怖とドラマとしての葛藤、そして実話に基づくものがたりとしての重みをじっくりと描いていく。骨太で誠実なつくりに拍手を送りたくなる作品だった。なによりエディ・レッドメインは一枚も二枚も上手の俳優ということをここでも示していると思う。「i can't」を繰り返し絶唱するラストにはおそろしさとかなしさと驚きで震えながら涙が出てしまった。今年いちばんの演技なのでは。

そのあとドキュメンタリーもみたけれど、未確認の死者を含めると400人を超えるというおそろしさをひとりの人間の異常性に集約するのではなく、病院というシステムとそれを維持するためのリスクマネジメントが歪なかたちで彼の凶行を止めることにはたらかなかったという複雑さもきちんと描いていて、彼が「だれも止めなかった」というのは言い訳ではなく事実でもあるのだと思う。観終わったあとに感じるのはシリアルキラーへの恐怖だけではなく、暗く実態のない巨大な要塞としての病院へのおそろしさだった。
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