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アメリカン・フィクションのdojiのネタバレレビュー・内容・結末

アメリカン・フィクション(2023年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

他者が捉えるステレオタイプに縛られた「リアル」と、とにかく生きているだけで目の前にあらわれてくる「リアル」とのギャップを知的なユーモアで描いていて、観終わったあとにそれぞれが独特の味わいとともに残る。前者はもちろんくすくすと笑えるコメディとして観れるし、後者は、父の不在、妹の死、弟の放蕩、あたらしいガールフレンドとの関係、メイドの結婚など、とにかく人間味にあふれたエピソードが味わい深い。ぼくはどちらかといえば後者のリアルがじわりと胸の奥に残る感覚があって、とくにアカデミー助演男優賞にもノミネートされたスターリング・K・ブラウンの悲しい顔がなんだか印象的だった。

途中でモンクのことをガールフレンドが"sad funny"と言っていて、なんというか、あたまのいい男の悲哀をかわいらしく見つめる彼女の存在を表しているようで、いいシーンだなと思った。この映画のジェフリー・ライトはとにかくチャーミング。
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