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ビリーバーズのdojiのネタバレレビュー・内容・結末

ビリーバーズ(2022年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

日本はオウムの事件があったのでカルト宗教に対するある種の元型のようなものが、あらゆる人のあたまやこころに入り込んでいるので、それをそのままトレースするような展開や設定は、ある意味でそこまで含みを持たせていないというか、とりあえずの前提として捉えられているように思う。それよりも、極度の禁欲状態にある時にひとは性欲とどのように対峙するのかが強調されているように思った。

途中で北村優衣さん演じるヒロインが、チンピラたちにからだを触られたことが性的な興奮につながっていたと吐露するところがあるけれど、なんだか、これはちょっとレイプを正当化する論理として良くないんじゃないかと思った。わからないけれど、不快は不快として取り扱って、主人公との性愛だけに快楽を宿す描写にした方がいいんじゃないかなと、そんなことを思うぼくはナイーブすぎるのだろうか。

柳下毅一郎の解説で、ヴォネガットの『猫のゆりかご』に出てくる宗教、ボコノン教の儀式であるボコマルぎ引用されていることを知って、なるほどと思った。ヴォネガットの映画にある独特なユーモアの感覚というか、深刻な事態にもかかわらず滑稽でかわいらしい感じが残るところは、すこしだけこの作品にも取り入れられているのかも知れない。
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