ミサホ

グッド・ナースのミサホのレビュー・感想・評価

グッド・ナース(2022年製作の映画)
3.9
推定で400人ほどの患者を殺したといわれるチャーリー。彼は、温和かつ実直そして勤勉な看護師だ。

しかしそれは表向き…の話である。

命を救う立場の人間が
悠々と患者を死に至らしめる

チャーリーは
勤務先となる病院を転々とした。
そして、彼のいく先々で、
患者の不審死が起こるのだ。

ところが、どの病院も腫れ物に触れるかのようにチャーリーを告発しない。そんな有様だから、てっきり、権力者の息子か何かなのかな…と思ったくらい。

振り返れば、事件が発覚しそうになるギリギリのラインで職場を変えるから、あとで、おかしいな…っていう噂は立っても、病院の評判や利益を考えてか、告発する病院はなかった。

このチャーリーという男を演じたエディ・レッドメイン。優男風の雰囲気が、うすら寒い、変質的な、何を考えているか分からない人物にぴたりとはまっていた。どこか『ニュースの天才』のヘイデン・クリステンセンを想起させる。

腕力に訴えるでも、頭脳を駆使するでもない、何ら害がなさそうな男…それを上手く演じていた。

そんなチャーリーと同僚として仲良くしているジェシカ・チャスティン演じるエイミー。チャーリーを自宅に招くほどだ。

チャーリーのことを大切な友人としながらも、恐ろしいことに手を染めた男の逮捕に協力する。

いや…救う、というべきか。

最後の取り調べのシーンからも見て取れるように、ある意味“重症患者”と言っていいチャーリーを救うのだ。

彼女こそ本物の白衣の天使である。

重く、暗く、静かな作品だけど、演者の主張しすぎない演技に引き込まれた。見応えのある作品だった。
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