鉄男フーテンの3Dあーてすと

スパイダーヘッドの鉄男フーテンの3Dあーてすとのレビュー・感想・評価

スパイダーヘッド(2022年製作の映画)
3.6
例えば遠い過去の価値基準の中には、2023年現在を生きる我々からは到底理解できない、嫌悪感すらいだくものがあるだろう。
反対にその時代の人々からすれば、我々の価値基準の中に到底受け入れられないものがあるだろう。

いや、同じ時代であっても住む地域や環境でそういった事は思っている以上にあると思う。

そんな中、この作品は公開前後の時代に生きる我々の中でも多くの人々の価値基準に寄り添うものだ。

悪く言えば新しく気付くような、そんな衝撃はないが、娯楽作品として賢明に紡がれている。

軽いSF設定と人間ドラマ。
基本的に興味の誘導と情報開示のタイミング、登場人物の心情で持っていく。
設定や展開にそこまで大きな衝撃はないが予想しながら気持ちよく答え合わせをできる感じだ。

薄暗く重要なシーン以外はわりかし現実味を重視したライティングで、SFだが見た目の世界観を強く押し出すものではない。
変わった建築はかっこいいが。

最初と最後に少しだけある上空から見た自然の描写は空間の前後感がダイナミックに感じられ、劇場作品ではないものの壮大だ。

作中多くの時間、ポップミュージックが環境とリンクして流れているので、展開が軽快に感じる。
もちろんそれが皮肉になっているような描写もある。

普通におもしろかった。

----------余談----------
アメリカの作品だが、ある種の人物に“うわぁ”って感じるのは多くの日本人も共通してそう。
少なくとも自分は(おそらくは脚本家の意図どおりに)そう感じた。