鉄男フーテンの3Dあーてすと

千年女優の鉄男フーテンの3Dあーてすとのレビュー・感想・評価

千年女優(2001年製作の映画)
4.6
動きのおもしろさと、コストの管理を強く感じた。
強く表現したいポイントなんだろう。というシーンの徹底した動きの細やかさ。
主要な人物とモブの干渉、慣性。
一方で止め絵で表現される箇所と、繰り返しの表現の多用。しかしそこにもしっかり演出意図が感じられる。
そして、カットの切り替えの気持ち良さ。

背景を含め、絵柄そのものも、作中の時代に合わせて、その時代を想起するものにぐるぐると変化してゆく。

あらゆる面で、発想とそれを実現する技術に感動する。
そしてそれは荒唐無稽なおもしろいだけの絵の連続ではなく、しっかりと物語とも重なっている。
だからこそ後半に毎度涙を流してしまう。

改めていい映画だなと思った。


時間や空間の感覚が混乱するし、構えて読み解こうとすると、やけに難解に感じる人も多そうだ。
いまの自分の感覚で未見の人に勧めたいのは、
初見は深く考えずに流れに身を任せて見てもいいと思う。
自身の初見時のことをもうまったく覚えていないけど。それでも伝わるように感情の動線は組まれていると感じたから。



----------余談----------
DVDで何度も見たが、今回はじめて劇場で見れて改めて感動した。
劇場の音響で聴く平沢進たまらんね。
平沢進の音にはじめて触れた作品だ。
(この当時はただただかっこいいなと思ってサントラを聴きまくっていただけで、実際に名前を意識して聴き始めたのは妄想代理人からだけども)
しかし今みるともう平沢進聴きすぎて音楽が自分の日常に流れているものと同じなので不思議な感じだ。
賢者のプロペラと、この映画のサウンドトラックは平沢進のアルバムの中でも最も好きなもののひとつだ。