不在

カリガリ博士の不在のレビュー・感想・評価

カリガリ博士(1920年製作の映画)
4.4
表現主義とは、実際に目の前に広がる世界ではなく、人の内面について描こうとする芸術運動であり、20世紀初頭のドイツから始まったとされている。
この映画ではそれを映像で表現しており、とにかくセットが現実離れしている。
これには当然必然性があってそうしている訳だが、それが明かされるまで観客はこの奇怪な舞台に閉じ込められ、その現実感の無さに目眩までしてくる。
当時の芸術家が自身の芸術を思いのままに描いた作品となっており、現在の映画史では到底許容されない表現だ。
昨今我々が見ている映画というものが、いかに「映画」というルールに縛られているのかが分かる。
不在

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