紅梅シュプレヒコール

REBEL MOON ー パート1: 炎の子の紅梅シュプレヒコールのレビュー・感想・評価

REBEL MOON ー パート1: 炎の子(2023年製作の映画)
3.8
『ドーン・オブ・ザ・デッド』や『ジャスティス・リーグ』等で知られるザック・スナイダー監督が、『アーミー・オブ・ザ・デッド』に続いてNetflixとタッグを組んで描くスペース・オペラ作品

平和に暮らす農民の惑星が、宇宙を統べる帝国マザーワールドの暴君バリサリウスの軍勢に狙われてしまう。故郷を守る為に立ち上がった主人公は、協力してくれる仲間を集める為の旅路へと出る事になるという物語

ザック・スナイダー自身が公言しているように黒澤明の『七人の侍』の影響が色濃く見えるストーリーラインとなっています

更に、帝国vs反乱軍の構図などはかなり『スター・ウォーズ』的です

なので作品にオリジナル性があるのかと問われれば、ほぼ無いに等しいですし、所々文句を言いたくなる展開もありましたが何だかんだ楽しめる作品ではあったかなという印象

アクションシーンは迫力ありますし、物語運びもスムーズなので退屈はあまり感じずに最後まで鑑賞できました

主人公を演じたソフィア・ブテラからは勇猛な雰囲気が醸し出されており、彼女の活躍は見ていて楽しかったです

ただ、他に登場する多くの協力者達のキャラクター性は薄く、印象に残らない存在になってしまっていたのは残念

パート2で各々が魅力的に描かれることを期待したいですが、個人的にザック・スナイダーはキャラクター描写が上手い監督だとは思っていないので過剰な期待はしないでおきます

このまま続けて不満点を挙げてしまいますが、今作において設定に反比例したスケール感の小ささは致命的だったように思います

宇宙を舞台にした壮大な物語であるはずなのに、いまいちスケールが大きく見えないのです

巨大な超弩級戦艦が登場するにも関わらず、巨大感を伝える描写がないのでイマイチ迫力を感じ取れないし、帝国が持つ力も鑑賞者には伝わりにくい

今作を観ることで、インスピレーションの基となった『スター・ウォーズ』や『七人の侍』の物語性と演出力の高さが改めて分かってしまうのは悲しいところ(デス・スターによる破壊描写や農民がひもじい思いをしながら侍に助けを乞う姿などは素晴らしい描写だったなぁと観ながら思ってしまいました)

と不満点はありましたが、130分の尺を長く感じなかったという事は私は楽しんで観れたという事なのでしょう

パート2は2014年4月に配信ということなので、配信次第観ようと思います

あと、アドバイスなのですが音響は良かったので、できるだけ良い音を聴ける環境で観ることをオススメします