このレビューはネタバレを含みます
黒人やアジア人、そして動物。
いずれも白人社会で“見られる客体”として消費されてきた者たち。
目が合うと襲ってくるあの生命体は、安全圏から「見る主体」として傍若無人に振る舞う人々への警告っぽくうつる。
チンパンジーと心を通わせたアジア人が見世物小屋で金を稼ぎ、映画の現場のセンターには白人ばかりが居並ぶ世の中で。
評価の目に晒され、軽んじられてきた存在が主体性を取り戻し「ここにいるぞ」と叫ぶ。それはデジタルなカメラには映らず、映画のはじまりと同様にアナログなフィルムに焼き付けられる。
アスと同様に旧約聖書から引っ張ってきた一節が冒頭に示され、それ以外にも意味深な仕掛けがいっぱい。
未確認生物を相手にしたパニック映画として楽しめるのはもちろん、深入りしようとすればどこまでもいける懐の深さ。ジョーダンピールらしく、面白かったです。