ユーライ

MEN 同じ顔の男たちのユーライのレビュー・感想・評価

MEN 同じ顔の男たち(2022年製作の映画)
4.6
スクリーンで初めて無修正を見てしまった。モザイクがかかっていた気もするが、あそこまで形が判別出来るならモザイクの意味が無いと思う。映画としてどうこうより、性器を見てしまったこと、全裸中年男性が持つ被写体としての面白さに夢中になってしまった。田舎の別荘でお散歩していると遠くに男の影、全裸っぽい……。こんなシチュエーションは確かに現実で遭遇したらホラー以外の何物でもないが、しかし絵面が面白過ぎるだろう常識的に考えて……。この映画、男性嫌悪の象徴として取り上げたのがよりにもよって全裸中年男性というミもフタもなさによって、ほとんどギャグスレスレになっている。恐怖と笑いが隣接しているといった話とはまた違うんじゃないの。元彼のDVを披歴することによってああ、妄想の産物なんだなと観客に納得させておいて、普通に警察に取り押さえられる全裸中年男性に繋ぐので笑ってしまう。普通に実在すんのかよ!そうやってうんこちんちんで笑っていると、最後のアレでドン引きさせられる。どうやら監督は今日的な女性への視点を持ち合わせているつもりらしいが、私からするとどうも逆説的に女性への蔑視、嫌悪を隠しきれていないように思える。ハーパーを通して「こういうところが不快なんだよ」と愚痴っているように見える。そういう捻じれた自意識の発露は全く他人事ではないので親近感を覚えたし、ちんちんが見られたので良かった。張り巡らされたメタファーの解釈遊びに付き合うつもりは全く無いが。昨年放送された我が国の問題作『ワンダーエッグ・プライオリティ』との共通点、そして監督が視聴済みであることに震える。変態はどこにでもいる!
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