こなつ

月の満ち欠けのこなつのレビュー・感想・評価

月の満ち欠け(2022年製作の映画)
3.6
2017年直木賞、佐藤正午による同名ベストセラー小説の映画化。小説は未読です。

ファンタジー要素が強いのは元々苦手だが、この作品は好きな俳優が沢山出演しているので鑑賞。

物語の内容は、そんな事ってあるの?いやいやドラマの中だけ、そんな思いで観ていたが俳優達は予想通り素晴らしかった。

生まれ変わりを題材にしているので、かなり非現実的で科学的には認められていない概念だけど、その存在(前世)を認めるかどうかは自分の気持ち次第なのかもしれない。

と言っても現実に身近な人に「私○○の生まれ変わりなの」と真面目に言われたら、かなり引いてしまうだろう。

物語は、仕事も家庭も順調だった小山内(大泉洋)の日常が、愛する妻・梢(柴咲コウ)と娘瑠璃(菊池日菜子)の二人を不慮の事故で同時に失ったことで一変。ある日訪ねてきた三角哲彦という見知らぬ男性(目黒蓮)から、梢と瑠璃は自分を訪ねて来る時に事故に合い、瑠璃が昔自分が愛した女性(有村架純)の生まれ変わりではないかと聞かされる。

目黒蓮は、「silent」や朝ドラの演技を観て心で演じられる魅力的な俳優がまたジャニーズから出てきたと注目していた。
また作品ごとに成長著しい有村架純との相性が抜群で、本当に美しいカップルだった。

大泉洋と柴咲コウのベテランの安定感。
伊藤沙莉、田中圭もそれぞれの役柄で好演。田中圭演じる利己主義夫には呆れ返る。生まれ変わりというファンタジーの世界の中で、この人だけやけに現実的で存在感があった。

「子供は雲の上からお母さんを選んで生まれてくる」なんていう発想は、もはやおとぎ話での世界で、小さな子供が前世の記憶をスラスラ口にするところなど、ファンタジー要素が強過ぎて違和感を感じる場面が所々あったが、そういう作品なんだと思いながら鑑賞。

家族を愛する気持ち、忘れられない恋人への思い、全く関係ないように思われたふたつの物語が、瑠璃という名の女性の存在で交錯していく。数奇な物語であるとともに、心揺さぶられる愛の物語。
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