クワトロさん

セールス・ガールの考現学/セールス・ガールのクワトロさんのレビュー・感想・評価

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現段階での個人的今年No. 1映画。

「めっちゃ良い映画」
なのかどうかは分かりませんが、
「めっちゃ好きな映画」
であることは間違いないです。

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与えられたまま、
指示されたままの環境で生活し、
「分からないことが分からない」
現代っ子のサロール。

世の中や自分自身にすらも興味がないゆえに
自分を語らないサロールが、
じょじょに新しい感情を芽生えさせながら
心と身体を裸にして
ぶつかって成長していく。

一方で、

人生経験に裏打ちされたような
綺麗な言葉を紡いだり、
人々の赤裸々な性を
達観したような態度を見せつつも、
そうすることで自身の優位性を保ち、
結果的に誰よりも
心を裸にすることができないカティア。

この雑味のない
シンプルな対比の構図は
おそらくこの映画において最適解。
どちらにも絶妙に感情を重ねられながら、
それでいて重くならず非常に観やすく、
爽やかで少しキュッとする余韻に
気持ちよく酔いしれることができる。

サロールなら
顔をくしゃくしゃにして
感情を全力で出しながら
挨拶をしてたと思われるが、
託した置き手紙とその内容で
余裕の笑みでいる風を装って
本当はおそらく涙を浮かべているであろう
自身の姿を隠したカティアは、
最後まで弱い人間らしくてそれが良い。

何より、
どんどん可愛くなるサロールが
最高にキュートでたまらない。
クワトロさん

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