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セールス・ガールの考現学/セールス・ガールのmasahitotenmaのレビュー・感想・評価

3.3
モンゴルの首都ウランバートルを舞台にしたオフビートな青春ドラマ。
一見地味でぼおーっとした女子大生が、ひょんなことからアダルトグッズショップの仕事を手伝うことになり、オーナーの女性と交流していく中で自分らしい生き方を見つけていく成長物語。
監督は、センゲドルジ・ジャンチブドルジ。
人気シンガーソングライターMagnolian(ドゥルグーン・バヤスガラン)のヒット曲が今風の映画を彩る。
原題/Khudaldagch ohin(2021、124分)

親の意向で原子力工学を学ぶ大学生サロールは、足を挫いたクラスメイトから治るまでの代理としてアルバイトの話を持ち掛けられる。
高給で簡単な仕事だと説かれ、短期間だけ働くことに。
その仕事はアダルトグッズ店の手伝いで、店に訪れる客の応対をしたり、顧客の求めに応じて自宅やホテルへ大人のおもちゃを届けたりすること。
店のオーナーは高級フラットにひとりで暮らす元ダンサーのカティア。
サロールは、一日の終わりに売上金を届けにフラットを訪れ、カティアと交流する中で、次第に自分らしく生きる道を考えるようになる…。

~登場人物~
・サロール(バヤルツェツェグ・バヤルジャルガル):主人公。両親と幼い弟の4人暮らし。親の意見で好きでもない原子力工学を専攻。絵を描くのが好き。いつもヘッドフォンでバンドの音楽を聞いている。母は市場でフェルトのスリッパを売り家計を支える。
・カティア(エンフトール・オィドブジャムツ):アダルト・ショップのオーナー。元ダンサー。サロールをいろいろな所へ連れだす。
・トブドルジ/ ジョンス:ボーイフレンド。俳優志望。
・ ジョンスの愛犬ビム:行方不明になる。
・ホテルで商売する女たちと警官隊
・きのこを売る少女と父親
・先生(中年の女性)
・いろいろなお客さん

"バナナの皮"
"男の子"=ディドル
"媚薬"
"刑務所"
"嫌な記憶を葬る方法"
"きのこの漬物"、"マフラー"、ピンク・フロイドのアルバム"狂気"
(The Dark Side of the Moon)

「あなたの犬は犬に見えない。
犬らしさがない。
犬らしさ?
あれよ。
あれは野良犬だ」

「赤ちゃんはマネして言葉を覚えるの。セックスも同じよ。マネして覚えるの」

「セックスショップはポルノ店じゃない。薬局よ」

「うつむいて自分の靴を見てる間に人生に置いていかれるわよ。…若い頃に富と成功を追い求めやっと幸せになる時が来ても、その時は既に身動きが取れないのよ」

「早すぎる成功は考えものね。
なんで?
若さを犠牲にするからよ」

「おっぱいがカユーい。
掻いてあげる。
やめてー」

「嫉妬は面倒よ。原因は簡単に説明できるけどね。自分が与えられない喜びを他人が与える恐怖よ。自分を磨けばいのにね」

lovetoyを扱っているが、性を売りにした興味本位なイヤらしさとは無縁なのがよい。
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