このレビューはネタバレを含みます
一番の売りは当然マブリーの暴れっぷりでしょう。
なんなら「マ・ドンソクという名の怪獣映画」レベル。彼が通った後は怪獣のそれと同様に 街が破壊されていくという感じで。
ドアノブを引き抜いちゃったり、相手を投げ飛ばして棚や机がグジャグジャになったり。
最終的にはバスが ほぼ全壊という…(笑)
それらはある種の“暴力”なのかもしれませんが、全て自身の私利私欲のためではなく、正義・治安という名の下で、たまたま腕力が過ぎる…だけのことであって。
しかも卑怯(!?)なことに、自身の暴れた惨状を見て“てへぺろ”的なリアクションを取るという。
これぞまさにマブリーのマブリーたるゆえんなのでありましょう。
さぁそんなラブリー・マブリーに対して、今回の敵であるカン・ヘサン。
これがひたすら残虐で。それこそマブリーとは対称的に、自身が生き残るため・金のためであれば、容赦がなく。人質も仲間(手下?)も見境なく刺し、なんなら命さえも…
ひとつの物語の中で そんな両極な表現を用いるということは、それすなわち緊張と緩和の対比となって。
それぞれのキャラクターがより際立つという効果を見せており。それも今作の持ち味であることは間違いないでしょう。
という書き方で「マブリーサイコー」というノリでまとめることもできるんだけど。それに加えて気になった点もありまして。
物語の後半。とある要人が誘拐され、その救出作戦を展開することになるのですが。
その作戦の大筋において、マブリーは電話を介して支持を出す役割になります。
その間に見せ場を担うのが、彼の同僚の刑事たち。カーチェイスに車を追っての全力疾走。また刺されて負傷する者も。
それ以外でも、ベトナムパートで班長が大ケガを負ったり。
また誘拐された要人の奥さんがヒヤヒヤものの ひと芝居を打ったかと思えば、“前作にも登場してた”イスが余計な事からの~××したり。
思いのほかマブリー以外のキャストも見せ場があったりするんだよね。
こうしたサブキャストの活躍は、作品の奥行を広げたり、見せ場を増やす効果になっていると思います。
それ以外で気になったのは、バトルシーンのカメラの近さ。
古びた小さな室内やバスの車内で殴って蹴って投げ飛ばして。それらを目の前…なんなら当事者的スタンスで描写する迫力は目を奪われますし。
あとはぶっ飛ばした相手がエスカレーターでまた近づくというようなアイデアにイチイチ感服しまして。
もちろんマ・ドンソクという“実在する”唯一無二のキャラクターがあってのことかもしれませんが、それだけに頼るでなく、一本の映画として、エンターテイメントとして隙なく楽しめるデキで。
『RRR』と違って 少々エグい描写もありますが、多くの方が満足できる作品だと思いました。
理想の上司 1位じゃね?